大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和54年(オ)1171号 判決

上告人・附帯被上告人

新居閑生

皆吉佳翠

被上告人・附帯上告人

浪越輝正

主文

本件上告を棄却する。

本件附帯上告を却下する。

上告費用は上告人らの負担とし、附帯上告費用は附帯上告人の負担とする。

理由

上告人らの上告理由について

所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。所論引用の判例は、いずれも事案を異にし、本件に適切でない。原判決が右判例に違背することを前提とする所論違憲の主張は、その前提を欠く。論旨は、ひつきよう、独自の見解に立つて原判決を論難するか、又は原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものにすぎず、採用することができない。

附帯上告人の附帯上告について

附帯上告人の提出した「再審請求願」と題する書面は、当審の手続において第一審判決のうち附帯上告人の主位的請求を棄却した部分を取り消すことを求めるため、附帯上告を提起する趣旨のものと解されるところ、控訴審において全部勝訴の判決を得た当事者は、上告審が法律審であることに鑑み、第一審において自己の請求を棄却され、控訴審においてこれに対する控訴も附帯控訴もしないまま相手方の控訴を棄却する旨の判決が言い渡された場合に、第一審判決において棄却された請求の認容を求めることを目的とするときであつても、附帯上告を提起することは許されないものと解するのが相当であるから、本件附帯上告は不適法として却下を免れない(前記書面が再審の訴を提起する趣旨のものであるとしても、第一審判決は、附帯上告人の請求を棄却した部分についても未だ確定していないから、これに対する再審の訴は提起することが許されないばかりでなく、同書面に記載されているように新証拠を発見したというだけでは民訴法四二〇条一項各号所定の再審事由にあたらない点においても、再審の訴として不適法であることが明らかである。)。

よつて、民訴法四〇一条、三九九条ノ三、三九九条一項一号、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(鹽野宜慶 大塚喜一郎 栗本一夫 木下忠良 塚本重頼)

上告人らの上告理由〈省略〉

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例